はじめての介護

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気になる介護費用

はじめての介護
ケアマネージャーの試算によると、介護サービスを受けるのにかかる費用は、このプランだと、手出しとして1割負担で、1週間3079円(身体介護1時間417円×3回+デイケア914円×2回 
※福岡市の場合。地域によって差がある。食費別)、1ヶ月で約12000円程度となります。これなら、父の年金で十分に賄える。お金がかからないことに気をよくしていると、初老の女性がいった。 「ひとつご相談があるのですが、お宅を拝見したところ、バリアフリーという面で、お父様にはちょっと過ごしづらい構造になっています。階段や風呂場に手すりをつけたり、玄関口にスロープを設けたりしませんか?」
私は渋い顔をした。父のために改築をするのが嫌なわけではないが、費用がかかりすぎると、愛するリキュールを手に入れられなくなってしまうからです。
「そうですね、おっしゃることは最もですが、費用的に厳しいかもしれませんね、ちょっと今は…」妻も隣で頷いている。きっとダイエット器具のことを心配しているのでしょう。
「工事費用20万円まででしたら介護保険が適用されますよ」
ケアマネージャーは明るい笑顔を見せた。
「それに、もし必要でしたら、特殊尿器や入浴補助用具など、福祉用具も保険で揃えることができますよ。両方とも1割は利用者負担ですが」
介護に欠かせない改築や道具は、全て9割引で購入できるようです。介護が必要な人にとって過ごしやすい住宅は、私たちにとっても過ごしやすいはずです。父をだしにして、住環境を良くできる。こんなに美味しい話は無視できない。
「必要なものを全て揃えると、一つひとつの値段は安くても、合計はかなりいきますよね?」
今にも(美味しい話に)飛びつこうとしている私を抑えて妻が聞いた。
「介護に必要なものを全て購入する必要はありませんよ。工事をせずに取りつけるものでよければ、手すりやスロープをレンタルすることもできますし、つえや車椅子、介護用ベッドなども借りられますよ。私が見たところ、お父様は気も強く、一生懸命がんばられる方ですから、リハビリを続ければ、またひとりで元気に行動される日も近いと思います。レンタルを利用して装備を整えるのが良いのではないでしょうか」
私と妻はお互いを見つめあった。妻の目には新しいダイエット商品が映っている。きっと私の目にはアイラウィスキーが輝いているに違いない。父の介護をしなければならないと聞いたときは、お互いのヘソクリを切り崩すことも考えていた。介護保険に助けてもらった分、少なくとも金銭的な負担は軽くなる。ここのところ沈みがちだった気分が、ちょっとだけ明るくなった。

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